中堅食品工場・冷却ポンプ振動監視で計画外停止ゼロ達成
年商220億円・千葉県の中堅食品工場で、冷却ポンプ24台に振動センサーを設置。8週間の構築で計画外停止を実質ゼロに、年間2,000万円の損失を回避。
概要
😣 突発故障で年4,000万円損失
月3〜5件の計画外停止が発生。1回あたり最大8時間ラインが止まる。原因究明に2〜3日かかり、熟練工も退職時期に。
📡 振動センサー + LoRaWAN
後付け可能な3軸振動センサー24基を全冷却ポンプに設置。LoRaWANで工場内3GW構成、クラウドで異常検知+CMMS連携。
🎯 計画外停止 月0.4件
月3.5件 → 月0.4件と88%削減。年間損失を4,000万円から1,200万円へ。7ヶ月でペイバック達成、設備寿命も延長。
1. 背景・課題
同社は冷凍加工食品の中堅メーカーで、千葉のメイン工場には冷却用ポンプが計24台稼働している。冷却系は製品品質の根幹を担うため、ポンプ1台の停止が即ラインダウンに直結する構造だった。過去3年間で年平均40〜45件の突発故障が発生し、年間4,000万円規模の機会損失を計上していた。
従来は週1回の定期点検と運転員の「音・振動」による経験則に依存していたが、若手への技能継承が進まず、熟練工2名の退職時期も迫っていた。さらに、故障発生時の原因究明には平均2〜3日かかり、メーカー手配や部品取り寄せを含めると復旧まで最大1週間を要するケースもあった。
経営層からは「DXを進めろ」との指示があったが、現場担当(保全課長)はIoTの知識ゼロ。投資の妥当性を示すROI根拠と、確実に動く実装パターンを必要としていた。
- 計画外停止:月3.5件(年42件)
- ダウンタイム:年240時間
- 損失額:年4,000万円
- 保全工数:年1,200時間
- 原因究明:1件あたり2〜3日
2. 導入の構成(HW / SW / 通信)
後付け・無線・既存設備を傷つけない構成を採用。電源不要のバッテリー駆動センサーで、本格運用まで8週間で構築。
📐 システム構成図
ハードウェア一覧
| 種別 | 型番 | 数量 | 設置位置 |
|---|---|---|---|
| 3軸振動センサー | Yokogawa Sushi Sensor XS770A | 24 | 各ポンプ軸受ハウジング |
| LoRaWANゲートウェイ | Kerlink Wirnet iFemtoCell-evolution | 3 | 工場棟3階・屋根裏 |
| クラウド管理サーバ | Hitachi Lumada(東京リージョン) | 1 | AWS Tokyo Region |
| 表示端末 | iPad + Webブラウザ | 4 | 保全課・現場制御室 |
通信・ソフトウェア
| 通信方式 | LoRaWAN(920MHz帯) |
|---|---|
| 送信間隔 | 10分(異常時1分) |
| 電源 | バッテリー駆動(5年寿命) |
| 分析プラットフォーム | Hitachi Lumada + 内蔵AI |
| 異常検知方式 | FFT + 機械学習(教師あり) |
| CMMS統合 | 八千代ソリューションズ MENTENA REST API連携 |
| 通知 | メール + Slack + LINE WORKS |
| セキュリティ | TLS1.3 / VPN / SSO対応 |
3. 効果(数値)
導入1年後の実測値。すべての主要KPIで業界ベンチマーク(Deloitte / DOE)を上回る成果。
📊 導入前後の比較(年間損失額)
※ うち直接効果(センサー導入で防げた損失)は¥2,000万。残り¥800万は保全プロセス改善による副次効果。
4. タイムライン
構築期間8週間。本番運用までを並行作業で短縮。
現場ヒアリングとセンサー設置位置の決定
Yokogawa Sushi Sensor XS770A 選定と一括発注
センサー設置(6拠点並行)+ GW設置
通信品質確認 + ダッシュボード構築
運用開始と保全担当者研修
5. 費用内訳
総投資額480万円。年間効果2,000万円から、ペイバック期間は7ヶ月。
| 項目 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| センサー機器 | Yokogawa Sushi Sensor XS770A × 24基 | ¥2,400,000 |
| ゲートウェイ + 工事 | Kerlink iFemtoCell-evolution × 3基 + 設置工事 | ¥1,200,000 |
| クラウド初期 + 1年運用 | Hitachi Lumada(中堅エディション) | ¥800,000 |
| SI(業者)工数 | 関電工 設備IoT推進部 設計・工事・教育 | ¥400,000 |
| 合計(初期費用) | ¥4,800,000 | |
| 2年目以降ランニング | クラウド + 年次校正 | ¥640,000/年 |
6. 得られた学び
他社が同じ構成で導入する際に押さえるべき4つのポイント
スモールスタートが正解
いきなり120台全数ではなく、24台から始めた。最初の3ヶ月でAI学習データを蓄積し、その後ライン全体に展開する計画。一気にやらないことで失敗リスクを抑えた。
保全担当者の関与が鍵
プロジェクト初期から保全課長と運転員4名をコアメンバーに。「自分たちの仕組み」と感じてもらえたことが、AI閾値調整や運用ルール策定で重要だった。
食品工場でもLoRaWANは問題なし
金属設備が多く電波伝搬が懸念されたが、GW3基構成で通信成功率99.8%を確認。事前の電波シミュレーションが奏功。LTE-Mは月額コスト高で却下。
CMMS統合は早めに設計
後付けで MENTENA(八千代ソリューションズ)や IBM Maximo と連携しようとすると工数が膨らむ。導入初期からCMMS API連携を要件に含めることで、アラートから保全指示書発行までを5分で自動化できた。
関係したパートナー
事例ごとにメーカー・SI・クラウドプロバイダを明示。匿名性はオプション。
Yokogawa(横河電機)
Sushi Sensor XS770A / 3軸振動
業界最大級の3軸振動・LoRaWAN対応センサー。10年寿命・防爆対応で食品/化学プラント実績多数。
製品詳細を見る →関電工
★★★★★ 4.8 / 86件国内大手電気工事会社。設備IoT推進部が食品工場の振動監視で実績多数。電気工事士・保全技能士・SI複合体制。賠償責任保険完備。
業者詳細を見る →Hitachi Lumada
日立製作所 / 東京リージョン
国内大手のデータ分析基盤。マルチベンダー対応、CMMS API連携、ISO27001準拠。AWS Tokyo Region 上で稼働。
プラットフォーム詳細 →